リーダーになって一番悩むことは、部下をどう育てるか。
そんな悩みの解決方法を、簡潔かつ深みのある言葉で表現したのが山本五十六です。
山本五十六の名言『やってみせ・・・』は最高の教育方法だと私は考えています。
今回は組織、人を育てる上で意識すべき考え方を、私見も交えてご紹介したいと思います。
部下や部活の後輩、これからお子さんなどを育てる立場の方の参考になれば幸いです。
人を育てる立場の方に知ってほしい名言 『やってみせ・・・』
「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ。
話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。
やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。」
山本五十六
人を育てる上で重要なことは、その人の能力を認めてあげること。
つまり、承認欲求を満たし、さらなる承認欲求を求め続けるよう言葉や態度を示すことです。
『やってみせ・・・』は、名著『人を動かす』の人を動かす3原則に似ている
自己啓発の原点とも言われる『人を動かす』という本に、人を動かす3原則というものが紹介されています。
人を動かす3原則
1.盗人にも5分の理を認める(批判や非難、苦情を言わない)
2.重要感をもたせる
3.人の立場に身を置く
デールカーネギー著 『人を動かす』
山本五十六とデールカーネギーの人を動かす3原則からわかることは、
高圧的な態度や理論無しの根性論では、人は育たないということです。
世の中には部下や後輩が自分の言う通りに動かず、イライラしてしまう人が少なからずいます。
彼らはおそらく、人間は想像以上に自己中心的であることを知らないのでしょう。
その自己中心的な欲求を上手く満たしてあげれば、「人を動かす」ことはある程度可能です。
『やってみせ・・・』をより深く理解しよう
それでは、山本五十六の名言 『やってみせ・・・』 を深堀して、理解を深めていきましょう。
1文ずつ私の解釈を交えて書いていきます。
教育の根本 『やってみせ・・・』 についての解釈
まずは教育の根本だと考えている『やってみせ・・・』についてです。
- やってみせ 一旦自分が、あるいはその道の上手な人が一通りの動きとその結果を見せる。
- 言って聞かせて なぜその動きが必要なのか、今わかっている注意点はどこなのかを説明する。
- させてみて 上記を確実に行ってから実際に一通りこなさせて、経験値1を獲得させる。
- 褒めてやらねば 上司は『良かった点』と『改善点』を見つけて、『良かった点』から伝えること。
- 人は動かじ 上記(特に4.)を繰り返して、いつしか部下は積極的に行動できるようになる。
4.については特に注意してほしいところです。
ここで伝えるべきは『良かった点』=褒めるべきところと、『改善点』=『こうすればもっと良くなること』です。
『改善点』は『悪かった点』(ここが悪かったね・・・)のようなマイナスな伝え方をしないようにしましょう。
知識や経験がついて、指導する側に回ると忘れがちになる『話し合い・・・』
自分に知識や経験があるとつい、部下の行動を制限しがちになります。
「こういう行動をすべき」「こんな行動は100%無駄になるだろう」と考えを押し付けては、部下や子の成長を阻害します。
本当に部下や子を育てたいのなら、まず部下や子の意見を聴くことが必要です。
部下が、こういうことをしてみたい!と軽くプレゼンしてくる場面を想定してみてください。
- 話し合い 『なぜそうしたいのか』『そうしたらどうなるのか』をまず質問する。
- 耳を傾け 1.への意見や考えを、まずは最後まで口を挟まず聞く。
- 承認し 現状と照らし合わせて、内容が筋の通るものならば『その考えは正しい』と伝える。
- 任せてやらねば 言い出した部下を主体として実行させる。上司はあくまで少しのサポート。
- 人は育たず 主体的に行動させることで、部下が次代のリーダーとして育つ可能性が出てくる。
もちろん、取り返しのつかないミスに繋がるような内容であれば、実行させないほうがいいです。
ただ、否定するのではなく、質問を繰り返して実行した場合のリスクを自分で気づかせましょう。
考えを押し付けられると嫌な気分になりますが、自分で気づけばすんなり受け入れると思います。
自分で完遂するほうが楽だと考える方に知ってほしい『やっている・・・』
仕事や子育てをしていると『一から説明して完遂させるより、自分で完遂したほうが早くね?』と考えてしまうことがあるでしょう。
しかしそれは、あなたの人を育てる機会、部下や子の成長機会を奪ってしまいます。
植物を育てるように、少しずつ成長する姿を見守りましょう。
部下が育てば、あなたはもっと楽に仕事が出来るようになるでしょう。
- やっている そもそもできそうな仕事を割り振ってあることが前提。
- 姿を感謝で見守って 自分の代わりに動いてくれている感謝の心を持つ。
- 信頼せねば この人だからその仕事を任せているのだと自分に言い聞かせる。
- 人は実らず 経験こそが最も重要な学びとなり、その実(経験)が次代に生かされていく。
他者を信じて待つというのは簡単に見えて実に難しいことです。
しかし、自分一人で解決できることや数には限界があります。
万が一部下や子供が失敗したとしても、どうすれば次は成功するのか、一緒に考えましょう。
冷静に原因と改善点を話し合いをすることにより、部下は着実に成長していくはずです。
高圧的な態度や苦言は自分の首を絞めかねないことを知ろう
先ほどのデール・カーネギーの『人を動かす』は、第一章から批判の無益さを紹介しています。
批判や非難、苦言の無益さを知ることは、対人関係における最重要課題だということです。
怒鳴ってばかりの上司やがみがみいう親はいつの世にもいて、いつの世にも嫌われています。
あなたが人を育てる立場にあるのなら、これらを辞めることから始めてみましょう。
批判や非難、苦言の無益さをより深く知りたいなら、『人を動かす』を読んでみてください。
対人関係の原則を学ぶには最高の本です。
『やってみせ・・・』を実践しよう
『やってみせ・・・』は人を育てる立場にある人は知っておくべき考え方です。
人を育てられる人は、自分もスムーズに仕事ができる環境を作れます。
あなたも職場や家庭で、この山本五十六の名言を実践してみてください!
「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ。
話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。
やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。」
山本五十六
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