このページでは、デール・カーネギー『人を動かす』の
人を動かす原則① 盗人にも5分の理を認める
について、ラグビーを通して学ぶ先輩(OB会社員)と後輩(現役プレイヤー)の対話形式で解説していきます。
原著を既読の方も未読の方も楽しんで頂ければ幸いです!
盗人にも5分の理を認める(人への批判は百害あって一利なし)
先輩聞いて下さいよ。
どうしたんだ?いきなり不満そうな顔だな。
この前の試合、レフリーが間違ったジャッジしたんで、それを抗議したら、それ以降ずっと相手チームを贔屓するようになったんです。
僕は勝つために正しいことをしたつもりだったんですけど、先輩はどう思います?僕が悪かったんでしょうか?
なるほど。
試合中の君の気持ちはよくわかるし、間違いやミスを修正してほしいと思うことはごく自然のことだ。
それほど気にすることでもないだろう。
問題は、『間違いやミスを指摘しても、指摘された人間に改善が見られなかった』ということだ。
そこなんです!
「間違いやミスをしたら、反省して改善すべき」というのは、小さい子供でも分かることでしょう!
そうだなー。
じゃあ今日は、指摘されたときのレフリーの心境を考察していこう。
そうすれば、君がレフリーに改善を促す糸口が見えてくるはずだ。
準備はいいかな?
よろしくお願いします!
レフリーへの批判・非難は自分やチームが長期的に不利になっていくだけ
さっそく、これから考えていく私なりのゴールを伝えておこう。
ずばり・・・
レフリーへの批判・非難は自分やチームが長期的に不利になっていくだけだからやめたほうがいい
ということだ。
そんな結論に行きつくんですか!?
まぁ不思議に思うのも無理ないだろうね。
まずはレフリーとはどういう人かを考えてみよう。
レフリーってどんな人?
君はレフリーとはどういう人だと考えてる?
「試合中ルールに則った公平・公正な判定を下す人」・・・といったイメージでしょうか。
そうだな。
レフリーは試合をスムーズに成立させるため、公平なジャッジが求められる難しい仕事だ。
ここで考えてほしいことは、
レフリーも『人』であり、公平かつ正しいジャッジをし続けることは不可能
だということだ。
え!?
そんな「レフリーも人間だから間違いは仕方ない」なんて許してたら、まともに試合できないでしょ!
もちろん、「泣き寝入りをしろ」と言ってるわけじゃない。
君はレフリーに抗議したと言ってたけど、どんな風に抗議したんだ?
えっと・・・「今のは明らかに相手の反則でしたよね!?こんなジャッジされたら試合できませんよ!」と強く非難したと思います。
なるほど・・・
では、それを言われた時のレフリーの気持ちを一緒に考えよう。
批判や非難を受けたレフリーの気持ちを考察しよう
君は家にいる時、親から「ダラダラしてないで勉強しなさい!」って怒られた経験はあるかな?
そんなのしょっちゅうですよ。
後でやろうとか、少し休憩してるだけの時にたまたま見に来て怒るだけ。
ほんとうんざりしてます。
わかるわかる。
僕もしょっちゅう親に怒られてた。
たまたま休んでるときに指摘されたら、めちゃくちゃ気分が悪かったな。
レフリーも同じような気持ちで、「たまたま間違ったジャッジをしたのに何でこんな非難されなきゃいけないんだ」と不満だったんだと思うよ。
あー今言われてみれば少しわかる気がします。
ここで君が学ぶべきは
人は他人から批判や非難を受けると意地でも自分を正当化する生き物
だということだ。
え!?
それは成長できてない自己中な人だけでしょ!?
そんなことはない。
いくつになっても人間は自分を、もっと言えば自尊心を守るために必死になる。
例えば小中学生の喧嘩だ。
少年Aは「先に悪口を言ってきたBが悪い!」と興奮し、少年Bは「先に殴ってきたAが悪い!」と怒る。
あー僕も小学生の時に経験あります。
結局先生がどっちも悪いと叱って、納得いかないまま「ごめんね!いいよ!」の儀式をするんですよね。
そんな儀式あったねw
これは大人になってもよくあることだ。
上下関係がはっきりしている時には特にね。
例えば、会社で上司が明らかな指示ミスをする。
それに対して部下が忠実に実行したら、当然問題が発生する。
この時、上司は部下にどう言うと思う?
そりゃあ「俺の指示が悪かった。すまん。」と謝るのが当然でしょう。
うん。本来はそれが理想の上司の回答だろう。
だが、マネジメントを学んでいないような多くの上司はこう部下に告げるだろう。
「お前のミスだ!お前が何とかしろ!責任を取れ!」とね。
え~・・・
あまりにも理不尽・・・
その通り。しかし、これが現実なんだ。
もう一度言うが、
人は他人から批判や非難を受けると意地でも自分を正当化する生き物
だ。
上司は「部下が勝手にやったことだから」と、部下は「上司の指示を守っただけだから」とそれぞれ自分を正当化するんだ。
スポーツでも例を挙げればきりがないと思うが、代表的なものは、
1986年 サッカーワールドカップ マラドーナの『神の手』かな。
神の手?どんな話なんですか?
ざっくり説明すると、
マラドーナという選手が手でゴールした。
そのあと、相手チームは当然猛抗議したが、審判の判定は覆らなかった。
そんなことがワールドカップでまかり通るんですか!?VTRで再確認はしなかったんですか!?
VTRはもちろん残っていて、明らかにハンドという反則だった。
ただ当時はVTRで判定を覆すというルールはなかったんだ。
恐ろしい時代だ・・・
プロ野球でも、明らかなボール球をストライクという審判に抗議する場面は現代でもしょっちゅうある。
しかし、抗議した監督や選手はその後も不利な判定をされたり、退場処分にされた人もいるようだ。
プロ野球でもそんなことが日常茶飯事なのか・・・
もちろん、どのスポーツの審判たちも公正な判定を心がけているはずだ。
第三者として試合をコントロールする義務があるからね。
だけど、ひとたび人から批判や非難を受けると、
審判は批判や非難をした人を『自尊心すらも攻撃してくる敵』と判断するようになる。
そうなったらもう、審判は大なり小なり『敵』になるんだ。
自分の経歴に泥を塗ってきた奴判定をされるってことでしょうか?
それも正解だろうな。
長年そのスポーツに携わってレフリーまでしてる自分が、たかだか2~3年しかそのスポーツをやってない人間に指摘されるなんてめちゃくちゃ屈辱的だろうしね。
場合によっては、というよりも恐らくほとんどの場合、批判や非難をした人の所属するチームすら『敵』認定する。
でも、レフリーが間違った判定をしたときはどうしたらいいんですか!?
我慢し続けて黙り込むしかないんですか!?
ふむ。
それも一つの手だといえるだろう。
ただ今回の君のケースでは、
穏やかに抗議をするという手法を使うのが有効的だったんじゃないかなと思う。
抗議の仕方について考えてみよう
穏やかに抗議する・・・
そうだ。
例えば、相手のアタック中、相手のノックオンがちょっと前ぎみという場面で、レフリーはノックオンの判定を取らずプレー続行、そのまま被トライされたとしよう。
この状況で今の君ならどう抗議する?
そりゃあ猛抗議しますよ。
「レフリー!さっき相手ノックオンしてましたよ!見てなかったんですか!?」って。
恐らくそう抗議しても今のルールならVTR判定で覆ることもあるだろう。
しかし、その抗議一つで永久にチームが不利になる可能性が高い。
微妙な判定はずっと君のチームが不利になる判定をされ続けるだろう。
じゃあどう抗議するのが正解なんですか?
あくまで一つの例だが、
「レフリー!先ほど相手のノックオンがあったようです。申し訳ないですが、タッチジャッジと確認してもらえませんか?」
という感じかな。
そんなかしこまった感じで言わなきゃいけないんですか!?
あくまで一例だよ。
大事なことは、『私はあなたの敵ではありません。』という言い方をすることだ。
誰でも高圧的に来られたら君だって『敵』認定するはずだよ?
確かに・・・
そうかもしれませんね。
いいかい。
レフリーの立場を思いやることで、自チームを公平・公正なジャッジをしてもらえるように行動するんだ。
逆に、相手チームがレフリーをないがしろにしてたらラッキーだ。
レフリーはこちらの『味方』になる。
あ~逆にそういうメリットもあるのか。
チームによってはウォーターブレイク時にレフリーへ水を持っていくこともある。
その効果は「媚びを売る」という考えよりも、
レフリーに少しでも自チームが公平・公正なジャッジをしてもらえるようにする効果があると僕は考えている。
水をもらったからといって贔屓にしていいわけないし、贔屓なんてしたらそれこそ自分で自分の経歴に泥を塗ることになるからね。
でもやっぱり媚びを売ってる感は否めないと思うんですけど・・・
そう思うのも無理はない。
そんな時は、レフリーがいるから今の試合が成り立っているのだと感謝する気持ちを思い出してほしい。
そうすれば、媚びを売ってる感は多少薄れるだろう。
よく「他人にしてほしいことは自分からしてあげなさい」と言われると思うが、まさしくそうすることで長期的にメリットがあるんだよ。
自分もレフリーも悪い気がしないコミュニケーションが大事ということですね!
盗人にも5分の理を認める(人への批判は百害あって一利なし) まとめ
さて、それじゃあ今回のまとめをしようか。
はい!
今回はデール・カーネギー『人を動かす』より
人を動かす原則① 盗人にも5分の理を認める
から考察してきた。
今回得た学びは・・・
①人は他人から批判や非難を受けると意地でも自分を正当化する生き物
②レフリーに批判や非難をしてもチームが長期的に損するだけ
③公平・公正なジャッジをしてもらうためにも、抗議するなら穏やかにしよう
だな。
試合に勝つためにもレフリーとは友好的に接する必要性を感じました!
そういうことだ!
さて、今日はここまでにしようか。
他に気になることがあればいつでも聞きに来てくれ。
はい!
ありがとうございました!
『人を動かす』ってどんな本?
先輩っていつもその『人を動かす』って本を読んでますよね。
一体どんな本なんですか?
うーん簡単に説明すると、
人間の本質から対人関係に必要なコミュニケーションの原則を教えてくれる本だ。
・・・
なんか胡散臭くないですか?
まぁジャンルも自己啓発だしそう思うのも無理はない。
実際僕も半信半疑だったしな。
だが、世界で1500万部、日本でも500万部売れているこの本は間違いなく名著だ。
有用でなければこんなに売れることはないだろう?
1500万部と言われても、いまいち凄さがピンときませんね。
ふむ。
基本的に10万部売れればベストセラーと呼ばれ、日本発の書籍で最も売れている本でも500万部ほどだ。
そう考えると1500万部売れているという凄さが実感できるかな?
桁が違いますね・・・!
まぁアメリカで初版が1936年、日本語訳版が1937年発売だから歴史も長いんだけどね。
逆に言うと、今日まで売れ続けているってことさ。
僕も読んだ方がいいのでしょうか?
そうだね。
もし君がコミュニケーションに少しでも悩んでいるなら読んだ方がいいだろう。
内容的には、ブッダが、キリストが、ソクラテスが、アドラーが、歴代のアメリカ大統領が、一般人に至るまで、あらゆる事例からコミュニケーションの具体的な方法を紹介している。
職場、家庭、恋愛などなど・・・これから君の人生にはあらゆる対人関係の苦悩が出てくるだろう。
そんな時、『人を動かす』を読んでいたら少なからず役に立つはずだ。
文庫本なんて1000円もしないし、それでコミュニケーションの達人になる可能性があるなら十分お得だと思う。
でも、僕は読書の習慣がないんですよね。
読み切れるかなぁ。
読むのが苦手なら『聴く』という方法もあるよ?
実際僕は『聴く』こともあるね。
『聴く』ってどういうことですか?
僕はオーディブル版の『人を動かす』を聴いているんだよ。
題名と内容は紙の本と少し違うけど、大筋は同じだ。
へ~。
通勤とか通学の時に使えるなら便利ですね。
まさに僕も基本的にはその時間に聴いているよ。
まぁ気が向いたらサンプル音声を聞いてみて、さらに気になったらオーディブルの1カ月無料体験を利用するといい。
『人を動かす』だけでなく、12万冊以上が1カ月無料で聴き放題だ。
うまく利用すればお金もかけずに本読めるってやばくない?
やばいっすね・・・!
とりあえずオーディブル版のサンプル聴いてみます。
教えてくれてありがとうございました。
『人を動かす』が君の人生を良い方向に導いてくれることを祈ってるよ!
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