『孫氏の兵法』と言えば、今やビジネス書としてめちゃくちゃ有名です。
ただ本来は”勝つための指南書”なんだからラグビーにも使えるんじゃね?
と思ったので、孫子の内容を私なりにラグビーに当てはめて書いていこうと思います。
私自身はラグビーを引退しています。
だから、高校や大学ラグビー部の皆さんが「これは役に立つ!」と少しでも思ってくれる内容になってたら嬉しいです。
孫子を知れば、ラグビーでも、社会人になっても役に立つはず・・・?
気楽に読んでもらって、使えそうなものはチーム会議などで活用してみてください!
『孫氏の兵法』を3行でまとめると・・・
『孫氏の兵法』を3行でまとめるとこうなります。
となります。
『孫氏の兵法』は戦術書でありながら、「無駄に戦うな!」という教えが最初に来る面白い本です。
孫子は勝敗を占いで予測する当時の風潮を嫌い、
徹底した現実主義
利益を最大に・被害を最小に
を重視した人だったようです。
この前提をもって、『孫氏の兵法』の細かい内容を見ていきましょう!
今回『孫子』から学ぶこと
状況を確認せず前進や後退の命令を出すな
君主は状況を確認せず前進や後退の命令を出すな、と孫子は説いています。
当時の戦争は勝敗を占っていたこともあり、運要素マシマシのギャンブルだったみたいです。
おそらく君主のノリで攻めるか退くかも決められていたのでしょう。
孫子はそうした当時の常識を嫌い、徹底して情報収集→分析→準備→行動するよう書かれています。
君主に限らず、”状況を確認しないまま何かを決めるのはやめておいたほうが良い”という教訓ともいえるでしょう。
軍の内情を知らず、システムに手を加えるな
君主は軍の内情を知らず、システムに手を加えるな、とも孫子は説いています。
将軍以下が勝つために組織編成を行っているのに、君主が横槍を入れると将軍たち管理側は混乱します。
よほどのことがない限り、内情を把握していないトップは口を出さないほうがいいのでしょう。
軍団の動かし方も知らないのに軍への命令に参加するな
君主は軍団の動かし方も知らないのに軍への命令に参加するな、とも書かれているようです。
命令系統の混乱は死活問題です。
兵も将校も何が正しいかわからなくなり、勝手に行動しだして自滅するかもしれません。
混乱している部隊は敵も撃破しやすくなるので、狙ってきます。
軍事のことを理解していない君主は、とにかく命令をしないほうが何事も上手く回るのではないでしょうか。
命令を出すにしても、君主は命令の出し方を勉強しておく必要があるでしょう。
今回『孫子』で学んだことをラグビーに当てはめると・・・
※ここでは個人の能力差はないものとして考えてみましょう!
原則命令はせず、首脳陣と選手同士意見交換を基本とすべし
首脳陣と選手同士意見交換を基本とすべきだと私は考えています。
命令や上からの押し付けって、やる気が削がれるんですよね。
あなたも経験あるのではないでしょうか。
もちろん、最初の方針は首脳陣が示して運営していく必要はあるでしょう。
ただ、ある程度選手たちに自分の考えが生まれてきたら、意見交換したのちに決定すべきです。
勝つためにそれぞれが考え、方針を決めていくチームは強いです。
最終決定権は首脳陣にあるにしても、コミュニケーションは大事にしていきましょう。
試合・チームの状況を見極められないまま命令を出さない
首脳陣は試合・チームの状況を見極められないまま命令を出さないように心がけましょう。
無論、そんな首脳陣はあまりないと思いますが、自戒もこめて考えてみてください。
例えば、主力の選手がケガしたのに気付かず、ガンガン突っ込ませる作戦を実行させるとか。
無理をさせたほうが良いこともありますし、交代させたほうが後々いい場合もある。
全てはまず状況把握が最優先です。
命令を出す際は状況の見極めが大事です。
状況も確認せずにシステム変更やポジション変更させない
状況も確認せずにシステム変更やポジション変更させないことも大事です。
例えばですが、サインプレーをいきなり複雑化したりすると、選手が混乱します。
選手たちがあなたの考えを理解できる状態にあるかも加味して、システム変更は行うべきです。
また、選手のポジション変更も注意が必要です。
できるポジションが増えるのは、チームとしても選手としても好ましいことではあります。
ただ、場合によっては、やりたくもないポジションにされてやる気を失う可能性もある。
ポジションのリーダー的存在がいなくなって練習が甘くなる、なんてこともあるかもしれません。
勝つためにはある程度システムやポジションをいじる必要はあるかもしれません。
それでも、選手とのコミュニケーションや状況把握をまず優先しましょう。
「自分ができてたから」という理由で強権を振るわない
首脳陣・指導者は「自分ができてたから」という理由で強権を振るわないほうが良いです。
人を育ててると「さすがにこれくらいはできてほしい・・・」と思うことは多々あります。
だからといって、「こんくらいできるやろ」の精神で指導すると、相手はやる気を削がれる可能性が高い。
やる気を下げず指導するには、
”できない原因は何か?””できるようになるにはどうすればいいか”を
相手の立場になって考え、提案するに留める必要があります。
相手があなたの提案を「試してみたい!」と思わなければ、思ったようには育たないでしょう。
やる気を削ぐ・士気を削ぐような強権の振るい方は出来る限りやめたほうが良いです。
キャプテンは中間管理職であり、現場のトップともいえる
キャプテンは中間管理職であり、現場のトップともいえます。
現場の状況を一番理解している決定権者です。
だから、首脳陣の指示が現状に合っているかを吟味するのはリーダーの役目といえるでしょう。
もし指示がずれていたら、首脳陣と話して現状を理解してもらった後、再度支持を仰ぐ必要があります。
別の項目で紹介しますが、孫子はこうも書いています。
”全体にとって利益のあることならば、場合によっては上層部の命令を無視すべきこともある”
ラグビーワールドカップ2015 日本vs南アフリカ戦はまさしく好例にあげられます。
ヘッドコーチのエディー・ジョーンズは怒り狂ってたみたいですが(^^;
キャプテンと首脳陣は、対等とは言えませんが、勝つためのコミュニケーションを取り続ける必要があるでしょう。
上層部はいきなり末端に命令を下さない
上層部はいきなり末端に命令を下さないほうが良いです。
学生さんはわかりずらいかもしれませんが、これされたら末端はしんどいです。
部長と課長で指示が分かれる。
しかも部長から直でズドンと落とされた指示に従っていたら、後から気づいた課長が怒り出す。
結局部長にもう一度確認しに行く・・・という無駄な時間が生まれたりします。
柔軟な対応が良い時もありますが、指示系統は円滑に組織を回すためのもの。
ルールを守って指示を出すのは上層部も当然の義務です。
ラグビーでも、首脳陣→キャプテン→各ポジションのリーダー→全体の流れで指示を出す意識を持ちましょう。
各階層で納得させることで、チーム全体を統一できます。
今回のまとめ
『孫氏の兵法』は奥深く、あなたの視点から見える新たな考えもあるかもしれません。
あなたが『孫子の兵法』を使って勝利を掴むことを祈ってます!
参考文献
孫子 著:浅野 裕一
「戦わずして人の兵を屈するは、善の善なる者なり」などの名言で知られる『孫子』。春秋時代の孫武(そんぶ)が著わし、二千年以上も読み継がれた名高い古典は世界最古の兵法書として、また人間界の鋭い洞察の書として親しまれ、今日もなお組織の統率法や人間心理の綾を読みとるうえで必携とされている。本書は、従来の宋時代のテキストより千年以上も古い前漢武帝時代の竹簡文に基づく精密な唯一の解説である。
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カラー版徹底図解 孫子の兵法 著:榎本 秋
※こちらはかなり昔の本なので今は置いてなさそうです。代わりの図解を置いておきます!
紀元前500年頃、孫武が勝負は運ではなく人為によるとし、その勝利の法則を理論化した兵法書。情報分析や見極め、行動の時機やリーダー論等、現代に通じるものとして今も人気が高い。「名言」を図解でわかりやすく紹介する。
「世界最古の兵法書」といわれ、今なお広く愛読される『孫子』の名言は、決して戦いや争い事での「必勝法」「リーダー論」だけはなく、ビジネスに、生活に、人生すべてに通じ、応用できる珠玉の言葉。「敵を知り、己を知る」「戦わずして勝つ」など、あらためてその意味を味わいたい。
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世界中の指導者・経営者が愛読している、世界最古の兵法書『孫子の兵法』を、わかりやすい事例と共に、あますところなく解説。
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