あなたが心から望むなら、ラグビーは社会人で必要なほとんどのスキルを学ぶことが出来ます。
このページでは、高校ラグビーから社会人でも通用する思考を身につけるロードマップと題して、
コミュ力と課題解決能力の2つに注目してご紹介します。
ラグビーの魅力はコミュ力と課題解決能力の成長性
ラグビーの魅力はコミュ力と課題解決能力の成長性です。
その理由をいくつか挙げてみましょう。
- レギュラーだけでも1試合15vs15という大人数
- それぞれのポジションに明確な役割が与えられる
- 状況に適したコミュニケーション力が常に求められる
- 限界まで追い込む練習、筋トレで心身ともに成長できる
- 時には意見が求められる適切な上下関係
多くの人と臨機応変にコミュニケーションを取りながら、自分の役割を全うする。
日々の積み重ね(ラグビーでは筋トレ、食トレ、技術練習)がはっきり結果に表れる。
これらは社会人になっても同じで、社会人に求められる能力です。
正常に運営できればこれほど成長機会が望めるスポーツはありません。
少なくとも、就活や日々の会話でアピールできるネタになること間違いなしです。
ラグビーのメリット・デメリット
ラグビーはメリットが多いですが、無論デメリットもあります。
簡単にご紹介すると、メリットは
- 他のスポーツより比較的試合に出やすい
- 身体的・メンタル的に強くなれる
- 就職に有利
デメリットは
- 覚えるルールが多い
- わざと体重を増やす必要がある
- やっぱりケガは多い
ラグビーで必要な道具とは
ラグビーは肩パッドやマウスピース、ヘッドキャップなど、ケガ防止の道具を買う必要があります。
試合前にはレフリーが選手の防具をチェックし、これらがなければ試合に出られません。
どんなチームを目指すと勝ちやすくなるのか
ラグビーをする以上、あなたやあなたのチームは勝てるようになりたいはずです。
初心者でも勝つチームのイメージを知っておくと、自分の必要な練習が見えてきます。
高校ラグビーで最も重要な考え方が『負けないゲーム』=『1点も取られないゲーム』を目指すことです。
そのためのチーム方針は『FWを中心としたスローペースラグビー』だと私は考えています。
プロでは勝つための様々な戦術や技術を練習しますが、これはペナルティやミスをしないことが前提です。
対して、高校ラグビーで勝つためには特別な技能よりも、ペナルティやミスが0・基礎能力の底上げが重要です。
そのために必要なことは、
- ボール支配率はほぼ100%を目指す➡味方のペナルティやミスが0、敵の攻撃を封殺する
- 常に敵陣でプレーする➡キックでの得点も許さない
- スタミナ管理に基づく選手交代➡ベンチもレギュラーと遜色ない基本プレーができる
これを踏まえて初心者が意識すべき練習や知識の優先度は決まっていきます。
次の項目から各学年毎で意識すべきプレーや思考を解説していきましょう。
高校ラグビー初心者が各学年毎で意識すべきプレーや思考
それでは、各学年で意識すべきプレーや思考についてご紹介し、その理由は後述します。
なお、今回はフィールドプレーメインで解説します。
前提として、身体づくり(筋トレ・食トレ)は3年間継続するものとしています。
ただ、ラグビーで強くなるためだけにデブを目指すのはあまりお勧めしません。
就活に必要なスーツが特注になったり、私服のサイズがコントロールしづらくなるからです。
バランスよく身体づくりをするよう心掛けてください。
1年目:タックル>オーバー>キャッチ>ランコース>自分のポジションが関わるルール
ラグビーの代名詞『タックル』を極めればすべてのプレーの基礎ができる
ラグビーの代名詞と言われるプレー、『タックル』
タックルが出来れば、チームメイトの信頼度はかなり高くなります。
タックルで重要なことは何なのか。
それは、『やられる(相手がヒットの態勢を作る)前にやる(ぶつかる)』です。
場面によってタックルの種類も変わるのですが、初心者がまず身につけるべきはとにかく相手の動きを止める間合いを知ることです。
具体的にその間合いはどのくらいかというと、自分を中心として半径1.5mだと私は考えています。
これは、DFラインで味方との間合いと同じ距離くらいのイメージです。
このエリアに入ってきたボールキャリアーに低くタックルすることを意識しましょう。
もしボールキャリアーの胸から上にタックルしてしまったら、シンビン(10分間の退場)をもらいかねません。
それを避けるためにも姿勢は低くタックルしに行くことを心掛けてください。
オーバーを極めればATを安定させ、DFではボール奪取のチャンスに絡める
初心者が一番貢献しやすいプレーはオーバーかもしれません。
ただ反則を取られることも多いので、オーバーの知識は優先して覚えましょう。
↓の記事でオーバーの反則を減らす方法も紹介していますので、時間があるとき読んでみてください。
他にも、ラックにおけるゲートの侵入や頭が下がりすぎていて反則。
そのまま倒れこんで反則を取られるケースに注意が必要です。
正直、状況次第でオーバーの種類が変わったり、そもそも参加するか否かの判断が変わります。
とりあえず初心者は、ラグビーの基本とも言える『亀の姿勢』を練習して、オーバーの基礎を身につけましょう。
練習方法については後日記事をまとめます。
チャンスへ絡めるようにキャッチを身につけよう
初心者であってもトライがしたい!と考える方は多いと思います。
しかし私の経験上、ポジションにもよりますが、初心者は1試合に1回ボールを持てればいい方です。
その理由ですが、
- ハーフやスタンド(中学からの経験者は特に)は信頼できる人にしかパスしない
- 初心者はルーズボールの反応が経験者よりも遅れやすい
- 初心者はパスを受けやすい位置にいない
といったようなものが挙げられます。
なら、初心者はどうやったらボールを持つ機会が増えるのか。
それは、どんなパスでも受けられるキャッチ力を身につけることが最優先になります。
ヒットやダウンボールも重要ですが、1年目なら+αの能力です。
チーム全体から信頼を得る第一歩として、1年目からキャッチ力にこだわっていきましょう。
ランコースを覚えてスタミナ管理をしよう
高校ラグビーの試合時間は30分×2=60分。
フルタイムで活躍するためにがむしゃらに走り続けるのは非効率です。
ATでもDFでも必要なランコースを覚えれば、初心者であってもメリハリのあるプレーを実現できます。
詳しくはランコース解説アタック編・ディフェンス編の記事に書いています。
FWがメインの記事なのですが、BK志望の方も知っておいて損はないと思います。
自分のポジションが関わるルールは予習➡試合で反則を取られて覚える
ラグビーのルールはかなり複雑で、オフサイドラインだけでも状況によって距離が違ったりします。
結局のところ、ルールは実際に自分が反則を取られて覚えることがほとんどです。
とは言え、予習は必要です。
なのでまずは、本やサイト、動画でルールを予習しておきましょう。
大まかなルールは『ラグビー 初心者 ルール』で検索すれば出てくるので、時々見返しておきましょう。
細かいルールを知りたくなったら、本を一冊持っておいた方が理解が深まります。
ルールの改訂が行われた場合は、YouTubeの解説動画を見るのもアリでしょう。
ルールをしっかり理解できると、活躍できる幅がかなり広がります。
上記は1年目に出来る可能性は低いので、繰り返し自分に関わるルールを試合で身につけてください。
そうすることで2年目・3年目で大きく成長するための土台が出来上がります。
2年目:ヒット>オフロードパス>ショートパス>後輩の育成
攻撃の起点になるヒットを身につけてチームからの信頼を得る
2年目からは攻撃力を高める、つまりヒットでボールを前に進める技術を身につけましょう。
ただキャッチして突っ込むだけではなく、スムーズに球出しするか、トライできるか等、ATも状況判断が求められます。
相手のタックルに負けず、あなたの選択肢を増やすためにも、まずはヒットの強さを鍛えましょう。
ヒットが強くなれば、自分でトライを取りきる力も身に付きます。
費用はかかりますが、個人的にはハーネスという練習器具を使った練習がお勧めです。
体幹が強くなる上、まっすぐ進むバランス感覚が養われるので、ライン際でも強くなります。
2人以上の自主練をする場合は、こちらも選択肢に加えてみてはいかがでしょうか。
トライに最もつながりやすいパスはオフロードパス
オフロードパスとは、タックルを受けても倒れずに近くの味方へ浮かす程度の力で出すパスのことです。
オフロードパスをうまく使えるチームは軒並みめちゃくちゃ強いです。
そんなオフロードパスですが、ヒットで勝ってしまえば近場に浮かすだけなので、技術をほぼ必要としません。
なので、初心者こそオフロードパスだけを唯一のパスだと思った方がいいです。
焦りさえしなければ、近場に浮かすだけで技術不要、勢いもほぼないのでキャッチミスも少ないです。
誰かが抜け出したら全力で近寄ることをチームに浸透させましょう。
そうすれば、オフロードパスでトライに貢献できるチャンスが増えてくるはずです。
ショートパス(特に浮かしパス)を使いこなせるようになろう
オフロードパスがある程度できるようになったら、チャンスを作り出せるようにショートパスを学びましょう。
ショートパスはタックラーとの駆け引きや味方との連携が求められるプレーです。
どこに・いつのタイミングで・どのくらいの力加減ならDFラインを突破できるパスになるかを練習しましょう。
わかりやすいのはおそらく、クロス時の浮かしパスです。
練習試合やタッチフットで積極的に練習すれば、ある程度感覚を掴めると思います。
「習得出来たらラッキー」くらいの気持ちで挑戦してみてはいかがでしょうか。
後輩の育成でコミュニケーション能力を鍛えよう
2年目からは後輩の育成も取り組んでみましょう。
私自身コミュニケーションが苦手なタイプでしたから、試行錯誤した分社会人になって役立ちました。
後輩の指導はコミュニケーションの練習になりますし、就活なら面接時に話のネタにできます。
意識してほしいことは↓の3つです。
- 怒りに任せたダメ出しは自分の首もチームの首も絞める行為だと心得る
- 指導内容は言語化・たとえ話・言い換えを駆使して伝える
- 長所を見つけたら言葉にして褒める
特にモチベーションを下げるようなダメ出しは絶対にやめましょう。
会社でもチームでも、感情的にダメ出しする上司は嫌われて、誰も話を聞いてくれなくなります。
「1年先輩なだけで教える資格あるのかな・・・」と悩んでしまう人もいるかもしれませんが、逆です。
「1年先輩なだけだからこその目線で指導することが重要」なのです。
私は高校生の頃タックルが苦手で、中学以下からの経験者でタックルの得意な方々にコツを聞きました。
その結果、ほとんどの回答が「要は気合!根性!」という、技術ではない返答を貰って苦悩した経験があります。
学ぼうとする姿勢や考えをもつあなたなら、ラグビーのプレーも論理的に説明できる可能性を持っています。
どうしてもコミュニケーションに悩んだら、↓の本を読むことをお勧めします。
古典的名著でありながら、一生役に立つコミュニケーションの原則を学べます。
3年目:FW or BKの戦術理解>後輩の育成
FW or BKの戦術を理解し、周囲をうまく動かす能力を身につけよう
3年目はあなたの成長だけではなく、チームの成長とコントロールする力を身につけましょう。
簡単に言えば、1~2手先を考えて味方を動かす能力です。
チームで勝つためには味方と連携し、ATもDFも組織的に動く必要があります。
3年目はキャプテンでなくともリーダーシップを発揮すべき場面がくるでしょう。
その時役立つのが、2年分の知識・経験とコミュニケーション能力です。
今まであなたが上手くなるため、勝つために学んだ知識や経験をどんどん言語化していきましょう。
3年目初めはチームメイトにわかりやすく、モチベーションを下げずに伝えることが出来れば十分です。
人を動かす能力は3年目のうちに試行錯誤して身につけていきましょう。
もしラグビーの戦術について自信がない方は、動画や本などから知識と伝え方を学ぶと良いでしょう。
3年目における後輩の育成は『指導方法の指導』を意識しよう
基本的には2年目とやることは同じですが、3年目における後輩の育成は『指導方法の指導』を意識してみてください。
2年目の後輩もあなたと同じように1年目を指導することがあるでしょう。
時には、指導方法について2年目の後輩が悩む時があるはずです。
もし指導方法に悩んでいる後輩が相談してきたら、一緒に指導方法を考えてあげてください。
あなたの考えを押し付けるのではなく、一緒に考えてあげるのです。
あなたは後輩に質問でヒントを与え、最終的には自分で気づかせるとあなたも後輩も成長できます。
もし求めていない返答でも、「なるほど。そういうのもあるかもね。」と冷静に軌道修正しましょう。
そうすることであなたはますます後輩たちから信頼される先輩になるでしょう。
そして、胸を張って卒部・卒業するのです。
ラグビーを通して得た筋肉・思考・コミュニケーション能力は一生役立つ!
以上が、『高校ラグビーから社会人でも通用する思考を身につけるロードマップ』です。
正直、社会人になってラグビーの技能が役立つ場面はあまりないでしょう。
ただ、ラグビーを通して得た筋肉・思考・コミュニケーション能力は一生役立ちます。
あなたの高校ラグビーが楽しく、意味のあるものになったなら幸いです。
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